こんにちは、株式会社プラップル コピーライターで
ソコキコ™オフィシャルトレーナーの佐藤秀治です。

最近よく売れた本の中に黒川伊保子さんの著書であ
『妻のトリセツ』があります。
勢いはそのままに、『定年夫婦のトリセツ』という
新刊も発売されているようです。

 

私はこの2冊とも未読なのですが、テレビやラジオ
で黒川さんのお話は耳にしております。

何で読んでいないかというと、

きっと、うちの妻のトリセツには
ならないだろうな。

という事に加えて、

わざわざお金を払ってブルーに
なりたくないからw

…という冗談はさておき。

強いて読む気がしなかったのは、

男脳

女脳

という話が、どうしても気になるからです。

随分昔に、雑誌『Newsweek』などの記事で「男女
の脳に違いがあることが確認された」という論文
の紹介
を読んで、「へーーー」と驚いて、

「女性の方が、右脳と左脳をつなぐ
脳梁っていう部分が太いから、
男と女では考え方が違うんだって!」

と、ネタにしていた事があるんです。

でも、このネタは、その後否定されました。

生物として、男性と女性の脳には絶対的な差はな
かった
のです。

なのに、

脳科学者を名乗る人の著書で
「男脳」「女脳」なんて
言い方をしていることが、
どうしても気になっていました。

でも、こういう話を持ち出すと面倒くさいオジサ
ンに見られてしまうので触れて来ませんでした。

しかし、この間、ちょうどいい説明がなれされてい
る記事を見つけちゃいました。

朝日新聞です。

朝日新聞デジタルにも載っていたのでリンクします。
https://www.asahi.com/articles/ASM427TKZM42UCVL02J.html

一部引用させていただきます。

本では「女性脳は、半径3メートル以内を舐(な)めつくすように“感じ”て」「女性脳は、右脳と左脳をつなぐ神経線維の束である脳梁(のうりょう)が男性と比べて約20%太い」など、男性と女性の脳の機能差を示すような具体的なデータを出す。そして「いきなりキレる」「突然10年前のことを蒸し返す」など夫が理解できない妻の行動の原因を脳の性差と結びつけ「夫はこういう対処をすべし」と指南して支持を集める。

 一見科学的に見える主張だが、科学者はどう読んだのか。

 脳科学や心理学が専門の四本(よつもと)裕子・東京大准教授は、「データの科学的根拠が極めて薄いうえ、最新の研究成果を反映していない」と話す。たとえば「脳梁」で取り上げられたデータは、14人の調査に基づいた40年近く前の論文で、かつ多くの研究からすでに否定されているという。本に登場するそのほかのデータも「聞いたことがない」。

 朝日新聞デジタル:妻のトリセツが説く脳の性差 東大准教授は「根拠薄い」
 木村尚貴 2019年4月7日12時05分 より抜粋引用

「脳梁」で取り上げられたデータは、
14人の調査に基づいた40年近く前の論文

えーーー、昔よろこんでネタにしてた論文って、たった
14人のデータを基にしていたのかぁ。
しかも40年近く前…。あの記事読んだのは中学生ぐらい
だったから、30年近く前だと思ったのになぁ……。

で、記事の続きをもう少し…

記者が黒川氏に主張の根拠を尋ねると、「『脳梁の20%』は、校正ミスで数値は入れない予定だった」とし、そのほかは「『なるほど、そう見えるのか』と思うのみで、特に述べることがありません」と回答があった。

 朝日新聞デジタル:妻のトリセツが説く脳の性差 東大准教授は「根拠薄い」
 木村尚貴 2019年4月7日12時05分 より抜粋引用

あー

『脳梁の20%』は、校正ミスで
数値は入れない予定だった

なるほど。

実際の話、黒川さんがラジオに出演された際も、男女の
脳そのものに違いはないと、強調されていました

そもそも黒川さんが嘘を言おうとしているわけではない
と思います。

ラジオでのお話も、すごい面白かったですし、勉強にな
りました。

でも、本が出版される時には出版社側のビジネスにもな
りますので、”売れるようにするために分かりやすく”編
集されているでしょう(推測)。

さらに詳しくはリンク先を読んでいただくと良いのです
が、結局のところは…

分かりやすくしないと
本が売れないから、
「男脳」「女脳」など、話を
分かりやすく表現している

ということなんでしょうね。

多分、主犯は編集者さん。

で、この分かりやすく書き分けるということに落とし穴が
ある
んです。

リンク先の記事の中では、女性のトリセツを分かりやすく
単純化していることが

ニューロセクシズム的

であるとも指摘しています。

男性と女性の脳では「機能差はある」という研究
もあるんだそうで、「男女間の差」について、まったく
根拠がないわけではありません。

でも、モノごとを単純に切り分けてしまうと、真実は
失われてしまうものです。

そもそも、黒川さんの肩書も
テレビなどでは「脳科学者」
ですが、公式にはそんなこと
言っていません
。↓

黒川伊保子プロフィール

株式会社 感性リサーチ 代表取締役
人工知能研究者、脳科学コメンテイター
感性アナリスト、随筆家

テレビって、秒単位で「分かりやすさ」を追求してい
る側面があるので「正確さ」が犠牲になります。

以前、DNA研究のエライ先生に取材した時、テレビで
は「テロメア」の話題が流行っていて、その先生も
テロメアの専門家であるかのような肩書で出演され
ていました。

ご本人は笑いながら

テレビに出る度に肩書が変わるから
何の専門家なのか分からなくなった

と笑っていらっしゃいました。

まぁそういうものなんです、テレビの情報番組は。

だから、黒川さんが悪いわけではないでしょうし、
このエントリ自体、黒川さんを責める目的ではあ
りません。

分かりやすさを求めすぎる
世間と、その世間に売れるように
するために、単純化を優先する
(あるいは単純にしか考えられない)
メディアに、ささやかな抵抗を
してみただけです。

少なくとも、情報を受け取る際にはこうした単純化
された情報を鵜呑みにせず、自分で考えることを忘
れないようにしていきたいなと自戒する所存です。

少なくとも、マスメディアやネットに溢れる情報を
脊髄反射的に信じてしまうと、失敗する確率は非常
に高いです。

そんな失敗、最低限に抑えたいですよね。

皆さんはいかがでしょうか?


■笑談快縁(株式会社プラップル)
https://www.plapple.jp/top/personalbranding

■笑談快縁 無料相談会(Peatixへリンク)
https://peatix.com/group/6943917

■株式会社プラップル コミュニケーション&発信力講座 (ストアカへリンク)
https://www.street-academy.com/steachers/161096?conversion_name=direct_message&tracking_code=e7f5655a68cb4fa90e6dc7f863fe0e49