任天堂のサイトからキャプチャ。本体が小さい。

本日10月5日は、話題のゲーム『ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン』の発売日だそうで、ビックカメラでは、事前の“抽選予約”分とは別に、当日の抽選販売を行ったようで、行列した方も多いのでしょうね。

しかし、予約まで抽選とは……相当な人気ですね。

かくいう私も、幻のタイトル『スターフォックス2』が収録されているというところに、ちょっと心が動きました。

任天堂のサイトからキャプチャ。スーパーファミコンを代表する人気タイトルが21タイトルも収録されているのはうれしい。

Nintendo of Americaのサイトからキャプチャ。北米版には、『MOTHER2』が収録されていると話題に。

先日、夜中に聞いていたラジオ番組『荻上チキ・Session-22』でも、この商品の話題で盛り上がっていましたね。

番組中では、こうした懐かしいゲームが大いに注目されている理由について、「スーパーファミコン(以下、SFC)で遊んだ30代以上のユーザーが、働いて小銭を持っていること」。そして、「30代以上のユーザーが、新しいゲームのキャラ設定やルールなどについていけないから」……なんて論じながら、それぞれの思い出のゲームタイトルで盛り上がっておりました。

でもね……

懐かしゲームは面白い! っていう話は、それこそ20年以上前から繰り返されてまして、私がゲーム雑誌の編集部にいた頃も、先輩編集者たちと一緒に、「ゲームの面白さ自体は、ファミコンの頃に結構完成されているよね。結局、グラフィックとか、マシンパワーでゲーム性が向上するわけじゃないからね」という話をしていたものです。

当時、PlayStationにNintendo 64、セガサターンが現役バリバリだったわけで、みんな『バイオハザード』や『ファイナルファンタジーⅦ』、『鉄拳2』やらをやり込んでいたわけですが、ドット絵バリバリの懐かしゲームでも遊んでいたわけです。

そして、今もナンバリング タイトルが続いている超大ヒット作『ポケットモンスター』は、モノクロの小さな画面のGAME BOYでリリースされた作品です。

グラフィックも、マシンパワーも、PlayStationには遠く及ばないのに、滅茶苦茶面白くてハマりました(『ポケットモンスター 赤・緑』は1996年2月に発売)。

で、ですよ。

わざわざ『荻上チキ・Session-22』を引き合いに出したのは、1つだけ言っておきたいことがあったからなんです。というのも、番組中、荻上氏がしきりに、「任天堂はキャラの育て方がうまい」と言っていたんですけど、これにちょっと補足したいんです。

任天堂は、「キャラクタービジネス」的なキャラの育て方は、そんなにうまくないです。もし、それがうまいのであれば、『メトロイド』のサムスも、もっと売れているでしょう(まぁ十分売れてますが)。『ゼルダの伝説』のリンクやゼルダ姫の見た目を、あんなにコロコロ変えるわけもない。『スターフォックス』のキャラだって、人気マンガ家に発注した方がどれだけ売れたことだろうか。……あ、最近の『ファイアーエムブレム』は……。

ともかく任天堂がうまいのは、「キャラクタービジネス」ではなくて、「ゲームの作り方・育て方」だと思いわけです。

先ほど私、グラフィックとか、マシンパワーでゲーム性が向上するわけじゃないと書きました。

でも、グラフィックが変わって3D空間をキャラクターが疾走できるようになったことで、ゲームの中で表現できる動きや、それによって変化する遊び方っていうのも、確実にあるわけです。

先ほどタイトルを挙げた『バイオハザード』も『鉄拳』も、その代表例です。GAME BOYで『バイオ』をやったって面白いはずがないんですから。

そして「表現できる世界が変われば、遊び方も変えることができる……」という事実を、時代の節目ごとに、私たちに見せつけてくれるのが、任天堂を代表する2大タイトル『マリオ』と『ゼルダ』であると強調しておきたい。ゲームが好きな人はみんな承知していることであるけれど、念のために書き記しておきたい。そんな気分で書いてます。

マリオとゼルダは、ハードウェアの進化と共に、その時々の「ゲームの教科書」であり続けているからこそ、キャラの人気が衰えないのです。

『スーパーマリオ』は、Bダッシュ(Bボタンを押すとダッシュする)Aジャンプ(Aボタンを押すとジャンプする)という定番の操作方法と、たった2つの基本アクションをさまざまな形で応用し、楽しませるアイデアを山盛りに詰め込んで、私たちの心を奪いました。そして、横スクロールアクションの教科書となったのです。
そして、『スーパーマリオ64』になると、3D空間をマリオが自由に駆け巡る際に、「ユーザーの目となる、カメラの位置をどうするか」という難問をスマートに解決! これまたバカみたいに面白い作品に仕上げてしまい、3Dアクションゲームの教科書になりました。

そして、『ゼルダの伝説』。ファミコンのディスクシステムから、スーファミ、GAME BOY、GAME BOY COLOR ~(中略)~ Nintendo 64、Wiiと、その時々のハードウェアで出来ることに合わせて、ゼルダらしい謎解きやアクション、そして横道にそれる小ネタを満載して、ユーザーを楽しませてきました。まさに、アクションRPGの教科書です。

そして、Nintendo Switchで発売された『ゼルダの伝説 ブレス オブ ワイルド』の物凄さ!

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ワイルド』の画面キャプチャ

今回のリンク(プレイヤー)は、裸同然で広大な世界に突然放り込まれる

この間、Webの攻略情報も参照しながら、ようやく試練の祠をすべてクリアして、ラスボスも倒してエンディングを迎えたんですが……ゲームをクリアした後でこんなに虚脱感を覚えたことは初めてです。いわゆる「ロス」ってやつですね。

とにかく、冒険の部隊となる世界が広く、モンスターやキャラクターが、きっちりと息づいているように感じられるわけです。RPGのNPC(ノンプレーヤーキャラ)って、要するにヒントくれたり、フラグ立てたりするのに必要な「記号」でしかなかったりするわけで、それはこの『ゼルダ』でも基本は一緒なんですが……一枚も二枚も上をいってるんですよねぇ。Nintendo 64で『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』が出た時に、決まった時間に謎の行動を繰り返す村人の行動を追いかける、みたいなミッションがあって、そういう遊びが非常に面白かったんです。その楽しさが、今回の『ゼルダ』にも引き継がれているです。

そして、世界の果ての方に巨大な龍が飛んでいたり、マップのそこかしこにちょっとしたお楽しみが隠れていたり、野を駆ける獣や川を泳ぐ魚をハントして料理を作ったりと、大忙し。

しかも、攻略ルートも決まってない。

会社の女の子もこのゲームで遊んでますが、「登山道の入り口に、アレがいたでしょ」と聞いても、「うーん、とにかく崖を登って、高いところから高いところへと飛び回りながら移動しているので、たぶん、そこを通らずに山を登りました」というくらい。

「防寒着もらった?」
「いえ、体が温まる料理だけで乗り切りました」

「昨日ようやくゾーラの里に着いたよ」
「私は、あそこ飛ばしてゴロンに行っちゃいました」

「龍がいるじゃん、あれすごいよね」
「え!? そんなことをいう村人がいましたけど、ホントにいるんですか?」

ちなみに、ゲームを開始したのは、彼女の方が一か月以上早い。

それなのに、こんなに食い違う。いわゆる、お使いゲームとはまるで違う。何という自由度の高さ!

しかも、ゲーム開始直後は雑魚モンスターしかいない……というお約束もなし。巨大なモンスターも、厄介な敵も、最初から最後まで、絶妙に生息分布しているわけです。

伝説の龍! 美しい!

とにかく、Nintendo Switchのマシンパワーをフルに使いこなして、これまでは出来なかった『ゼルダ』を、これまでのシリーズで積み重ねてきた魅力の上にガッツリと上乗せすることで、前人未到のエンターテインメントに昇華させちゃったのだと、ちょっと大げさかもしれませんが、そのぐらい絶賛したい面白さでした。

さて。

次のお楽しみは『マリオ オデッセイ』! どれだけ面白いのか、楽しみです。

私が『スーパーマリオ』の新作をちゃんとプレイするのは『スーパーマリオサンシャイン』(2002年7月19日発売)以来です。ブランクあり過ぎてごめんなさい。

  
  

※ 転売屋さんがアマゾンに出品している「スーパーファミコンミニ」を、ここに掲載するつもりはございません。