こんにちは、株式会社プラップル コピーライターで
ソコキコ™オフィシャルトレーナーの佐藤秀治です。

今日は、文章のお話。

2002年ぐらいに日本IBMでコピーライターとして仕事
し始めた時から感じていたけど、お仕事的に角が立
ちそうだったから言わなかったことがあります。

それは……

企業による情報発信は、
基本的にボキャブラリー少な目

……ということです。

私はそれまで、新米フリーライターだったり、ペー
ペーな編集者だったり、いずれにしても、出版業界
の片隅も片隅なところでお仕事していたわけです。

その中で学んだことは、多様な日本語表現を心がけ
ること
でした。

それはたとえば、1つの文章の中で、同じ表現、同
じ言い回しを繰り返さない……とか
いうことだった
りします。

でも、日本IBMで当時言われたのは、「読む人が迷
わないように」あるいは「わかりやすいように」
簡易な表現を繰り返せ、ということでした。

日常では使わないような日本語表現を使うと、
「もっと普通な表現で」と直されたりしました。

分かりやすいように、ちょっと誇張した例文を以
下に書きます。

例)スイカ割りの説明

■ 雑誌コラム風
 夏が来ると思い出す楽しみの1つに、スイカ割り
がある。軽く手で叩くと、ポンッという音と共に、
詰まった実の水分に弾かれて、何とも言えず心地よ
い手応えが手のひらに返ってくる。あの大きくて
重い野菜を目的地まで運ぶだけで心が弾む。
 目隠しをした人をみんなではやし立てながら、失
敗すれば大いに笑い、成功すれば、もう終わってし
まったと惜しみつつ、皆で甘い実を分け合った。

■ 製品カタログ風
 夏の遊びと言えば、スイカ割り。大きなスイカを
手のひらで軽く叩くと、いい音がします。重いほど
実が詰まっています。
 目隠しした人が棒を持って、周りの人の声を参考
にしながらスイカの位置を推測して、棒を振り下ろ
します。うまくスイカが割れたら成功です。みんな
で分け合って食べましょう。

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どうでしょう?

上の「雑誌コラム風」では、スイカを「野菜」や
「甘い実」と言い換えていますが、
その下の「製品カタログ風」では、「スイカ」と
しか表現していません。
……と、まぁ、少し誇張していますし、例文の出来
自体もアレなので、そこは多めに見ていただくと
して「求められる文章のあり方」が、大分違った
ので、戸惑ったのを今も覚えています。

  ※スイカは、「果物的野菜」。

で、ですよ。

これ、別に日本IBMだけの話じゃありません。

私にとって日本IBMが初体験だっただけで、ほかの
企業でも、往々にして同じことが求められます。

求められるのは「分かりやすさ」。

文章としての味わいなんて、通常は求めません。

伊集院静さんのような有名な作家さんに依頼する
メッセージ広告なんていうのは例外です。

そもそも、企業のマーケティング部門にいる人は
出版社の編集部員ではありませんから。

それに、「スイカ」を「自社製品名」に置き換え
れば
お分かりいただけると思いますが、「製品
名」を(ある程度)しつこく露出することにも意
味がある
わけです。

だから、これでいいんです。

企業の広報物では、基本的に使用するボキャブ
ラリーを絞り込んでいきます。

だって、そうした方が、どんな人が読んでも戸
惑いにくい(であろう)から。

それはそれでいいんです。

でも……

何というか………

「分かりやすくする」
=「語彙少な目」

という構図は単なる誤解なので、時々、
いろんな書き方に挑戦するんですけどね。文章
に「味わい」=「クセ」を出そうとすると、赤
字修正が戻って来ることが多いです(笑)。

まぁいろいろ承知しつつ、アウトプットの枠を
広げるために、たまには遊びを挟みたい……そん
な想いも若干残しつつ、真剣にお仕事させてい
ただいております。

何卒よろしくお願い申し上げます。

最後までお読みいただきありがとうございます。