こんにちは、コピーライターで
ソコキコ™オフィシャルトレーナーの佐藤秀治です。

「個性の時代」なんて言葉を、もう20年以上
聞かされているような気がしますが、みなさん
本当にそう思いますか?

今日も嫌な話を小耳にはさみました。

近隣の公立中学校で、「内申点」のつけ方に
関するプリントが配布されたという話があり
まして、そこに書かれている内容を、分かり
やすく要約すると、

教師に気に入られることが重要

であるとしか、読めないのだそうです。

私は原文を読んでいないので何とも言えま
せんが、子どもや保護者が、そう受け取っ
てしまうに根拠が、日々細々と積み重なっ
ているという事実が重要であったりします。

幼稚園、小学校、中学校と、人格を形成す
る重要な時期に行われる教育が、個性や多
様性を重視していない
ということが非常に
大きな問題であると、常々感じてきました。

と、今日12/29(土)に放送されたラジオ
番組『久米宏ラジオなんですけど』にて
非常に示唆に富んだ話がありました。

ゲストは、小説家の高橋源一郎氏。

2005年から大学でゼミを受け持つように
なった氏が、
「バイトが忙しくて飲み会もできない」
「親からの仕送りもこの5年で3割減」とい
う現在の大学生たちの状況に触れた後で、
こうした平成を代表する文学として挙げた
のが、

朝井リョウ氏の『何者』と、第155回芥川
龍之介賞を受賞した村田紗耶香氏の『コン
ビニ人間』
でした。

 

以下、放送の一部を書き起こさせていただ
きます。

高橋源一郎:『何者』は就活を。

久米宏:はい。

高橋:で、要するに“企業が求める人間に一生懸命なろう!”と。

久米:うん。

高橋:無理でしょ、そんなの。でもみんな何かそういう…。そのうち自分が何者なのかも分からなくなっちゃうっていう…それを繰り返し。しかも、せっかく作った自分のキャラも否定されるわけです。「いらない」って。理由は何だか分からないけれど、もしかすると、その大学が良くないかもしれない…。っていうので、ものすごく、ある種の同調圧力が強い。

久米:うん。

高橋:『コンビニ人間』もそうなんですね。村田さんのも、あの、“全部マニュアル通りに生きてると楽!”と。で、それに対しておかしいのは、世間は「もっと個性的にやれ」とか言うんだよね。でも、マニュアル通りにしか生きていかれませんって。本当は、これ、実は、(個性的にやれと)そう言っている人たちもマニュアル通りに生きているんだけども、気が付かない。

久米:うん。

高橋:主人公の、本当にコンビニでしか生きていけないマニュアル人間が、実は自覚してるんだよね。…っていう風になると、ものすごく…これもやっぱり、貧しいから、そういう世界でしか生きていけなくて、そこには非常に厳しいマニュアルがあって、そこから自由になれない…っていうのが、ひとつ新しい、小説の流れであって…。でね、それをみんな読むの。つまりね、それは「自分だ!」っていう風に。あれ、なぜ売れたのか?
これ言ったかな、あれをゼミ生に読ませたら、みんな読んでて、「面白いね」って言ったら、「面白くないです。つら過ぎて」って(苦笑)。

久米:あー。

高橋:こういうことは誰も教えて…言ってくれないと。朝井さんは、ホントに君たちが自分のキャラクターを作って、本当(の自分)は違うんだけど、そういう風に(自分を)売らないと生きていけないよ、と。この社会から追い出されますよっていうことを、誰が教えてくれるかっていうと、ま、企業は言わないよね。

久米:うん。

高橋:社会も言わないでしょ、黙ってるでしょ。「就活なんてしたら、人間性失われるよ!」なんて言わない。で、そういうのを言うのが小説の役目だっていう風にすると、結構、怖い世界に飛び込んで行って…。もちろん、そういうことは、昔からそういうシステムみたいなことは、みんな、みんな自由に生きているわけじゃないんですけど…。ただ、貧しさが増大していくと、ますますそういう方向に雪崩をうって転がっていく、という気がするんですよね。

  TBSラジオ『久米宏ラジオなんですけど』 2018年12月29日放送回より

怖い話です。

私、『コンビニ人間』は、ざっと読んで、
辛そうな感じがしたのでスルーして、

『何者』は、映画化された時に予告編だけ
観て、十分に落ち込みそうだったので
スルーしてましたが、今、Amazon の
Prime Videoで観れるようなので、休みの
間に見てみようかと思います。

私、正直に言って、学歴もないので、就
活って未経験なんですよ。

でもね、バブルに間に合わなかった団塊Jr
つまり第2次ベビーブーム世代として、非常
に苦労しました。

私たち世代は、人数は多いけれど、収入的
に安定成長を勝ち取ることが出来た人の割
合がどちらかというと低いために、結婚で
きない人が多く、結局

第3次ベビーブームを
作り出すことが出来ず、
日本の少子高齢化が
加速したという説もあります。


就職氷河期っていうのが続いたんですよ。

そんな中、辛いですよね、面接って。

落とされても理由が分からないし。

何でこんな人に値踏みされなきゃいけない
んだろう
って。

さらに、『久米宏 ラジオなんですけど』で
は、2020年のオリンピック・パラリンピック
へのボランティア参加が、大学生多たちの面
接時の評価を左右するであろう
ことを懸念。

ジョージ・オーウェルの小説『1984年』では
機械を使って人を徹底的に監視・管理
する社
会が描かれましたが、現代の日本では、「空
気」が監視している
と、高橋氏は示唆します。

さらにいうと、この「空気」に関して、
世間が無自覚であることが怖い
んですよ。

小学校・中学校では、教師の顔色をうかがい、
言われた通りに行動することに疑問を抱かず

高校・大学を経て、就職活動を行う際には、
企業に受けそうなキャラを作り上げる……。

怖いですよ、こんな社会。

何が個性の時代なものか。

ハッキリ言っちゃいますけど、世間で言われ
る「個性の時代」なんて、ただの思考停止
ワードですから。

世の中を、もっと自由で、
生きやすい場所に変えていくためには、
コミュニケーションの充実が不可欠です。

その大前提となるのが「個の尊重」です。

私は、強くそう信じています。

その信念に基づいて、個人向けセミナー/
ワークショップを始めて、企業向け研修にも
取り組んでいます。

温かい目で見守っていただけると嬉しい
です。何卒宜しくお願い致します。