こんにちは、コピーライターの佐藤秀治です。

さて、週末明けての月曜日。
ちょっと休みボケが残る脳みそでニュースを見ると
沖縄の名護市長選(2018/2/4)の結果を報じる記事多数。

「あー、辺野古への基地移設に賛成する候補が勝ったんだ」
と端的な事実は理解できるものの、
不勉強にて、真相はまるで理解できていない、残念な私。

「基地に反対している人が多かったと思ったけど、違ったのか」と
早計に判断してしまいそうになります。

で、ですよ。
仮に私がこの件に関して、朝、寝ぼけ眼をこすりつつ
下記のような刺激的な見出しがついた記事一件をFacebookかなんかで
シェアしたとします。

茫然自失の稲嶺氏 陣営到着と同時に敗北確定 「移設問題がはぐらかされた…」
 産経ニュース 2018.2.5 01:07

そうすると、それはそれで影響力が非常に乏しいながらも
「世間への情報発信」となるわけです。

記事のリンクに、一言
「はぐらかされたって何よ…」
などと書きそえれば、右寄りな人だと思われるでしょうし、
「なんで負けちゃったの!」
と書けば、左寄りな人が選挙の公正さを疑っているとも受け取れるでしょう。

ほんのちょっとの手軽な情報発信が、
自分の半径数メートルの人間関係に影響するわけです。

ま、これも立派に「情報過多時代」の一因になるわけで……

そんな迂闊な発信はしちゃいけないよねぇー、と思いつつ、
ちょこちょこっとググってみると、琉球新報の記事が目に入ります。

 名護市民は「新基地」を容認したのか 国の〝歓迎〟と辺野古の行方(名護市長選)
  琉球新報 2018年2月5日 06:00 

沖縄県の米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設が最大争点となった4日投開票の名護市長選で、移設を推進する政府与党に支援を受けた渡具知武豊氏(56)が移設阻止を掲げた稲嶺進氏(72)を下し、初当選した。政府は2017年4月に護岸工事に着手して以降、工事を推し進めている。渡具知氏が当選したことで政府は工事をさらに加速させそうだ。

 辺野古新基地建設を推進する政府の支援を受けた渡具知武豊氏が当選したことで、国は「名護市民は新基地を容認した」とけん伝し、工事を一層加速させてくると思われる。これまで、地元の民意を根拠に辺野古新基地建設阻止の方針を掲げていた翁長県政は厳しい状況に追い込まれる。衆院選など各種全県選挙で辺野古新基地建設反対の民意が示されていることから、知事は引き続き辺野古新基地ノーを堅持する見通しだが、その実現への戦略は見直しを迫られそうだ。県知事選への翁長氏自身の動向も注目される。

 渡具知氏は選挙期間中、辺野古の新基地建設の是非の明言は避け「(県と国の)裁判の行方を注視する」と述べるにとどめてきた。しかし、基地受け入れが条件とされる再編交付金については「特段断る理由はない」などとし、受け取る意向を示している。

 再編交付金の受け取りと新基地建設反対が両立し得ないことを考えると、渡具知氏が近く辺野古新基地「容認」の姿勢を示す可能性が高い。名護市長は美謝川の水路切り替えなど工事を進める上での許認可を有しており、市長判断が基地建設の進展に大きな影響を与える。

 県は今後、これまでの全県レベルでの選挙で新基地建設ノーを掲げる候補が当選しているという事実や護岸工事着手に際し、度重なる県の行政指導を無視し工事を進める国の対応などを根拠に新基地建設反対の理論武装をしていくとみられる。埋め立て承認の撤回やそれに関連する県民投票、秋の知事選など重大局面が続く。(仲井間郁江)

  ※ 強調太字 筆者

で、上記 琉球新報の記事を読んでみると、

  • 基地移設に向けた辺野古の工事はすでに進行している。
  • 当選した渡具知氏は、選挙期間中、辺野古の新基地建設の是非の明言は避けていた。
  • 翁長県知事は、辺野古移設反対の意思を曲げていない。

といったことが分かって、無知な状態でニュースに接した第一印象とは、理解がだいぶ異なってきます。

で、そもそも辺野古の海を埋め立てると生態系に影響があるって話だったよなぁ……と調べてみると、すぐに見つかります、関連情報。

辺野古埋め立て予定地に危惧種サンゴ 防衛局、沖縄県に採捕申請へ
  琉球新報 2017年9月28日 06:20

(戦略)埋め立て予定地に絶滅危惧種のオキナワハマサンゴなど14群体のレッドリスト掲載サンゴが見つかったことが27日、分かった。全14群体のうちオキナワハマサンゴ1群体を除く13群体が死滅、消失していた。沖縄防衛局は周辺では陸上工事のみ実施しているとして工事の影響による死滅を否定した。(後略)

これ、9月の記事ですから、4月に着工する以前には、やっぱりちゃんと生態系の調査をしていなかったんだろうな、と。

そして、朝のラジオ。
毎日のように聴いているTBSラジオ『伊集院光とらじおと』にて
伊集院光が「基地そのものには反対だけれども、経済的には基地に頼らざるを得ないと判断した人たちが多いということも(報道から)分かる」といった主旨の理性的なコメント。

その観点で検索すると、とりあえず朝日新聞の記事がヒット。

辺野古移設「反対だけど…」 名護市長選、有権者の思い
  朝日新聞デジタル 2018年2月5日12時34分

(前略)無職男性(60)は、辺野古移設に反対だが、渡具知氏に投じた。基地問題について語らない姿勢にもどかしさも感じたが「街の中心部も活気がない。停滞した雰囲気を変えたかった」。やはり渡具知氏を選んだ飲食業の女性(62)は米兵相手の商売もしており「生活がかかっている。基地が来るのはしょうがない。国からお金を持ってきて」。(後略)

やっぱり、生活が大事ですから、地域経済にプラスになるものには
反対しきれないという実情が、当然あるでしょう。
個人的にも、沖縄の経済事情は「苦しい」というイメージがありましたので
確認のためにググってみると、内閣府の公表している「県民経済計算」(2014年度)に行き当たりまして、
それを見ると、沖縄県は、47都道府県中34位!
ちなみに、ワースト5は上位から、徳島県、佐賀県、島根県、高知県、鳥取県(ワースト1)の順。

こうして見ると、沖縄経済、全国の中ではまだまだイケてる方なのか……
と、思ったりもするんですが、

ここで何と、ぶっちぎり1位の東京都の総生産が、
国際比較ではオランダ以下、トルコ以上という位置にありまして
すごいんだか、すごくないんだか、良く分からなくなります。

関東ブロックで括った時にはグッとランクが上がって、
インド以下、ロシア以上で世界10位になるということですが
何だかそんなにうれしくないw

というわけで、日本の地方経済が軒並み元気ないと言えることは確認できたわけです。

いずれにしても、名護の市長選の結果だけで
 名護市民は、基地に賛成
という単純な結論を出せないことは良く分かります。

……と、こんな当たり前のことをちゃんと書こうと思って
ほんの少し調べただけで、こんな長文になってしまいます。

先に引用した琉球新報などメディアの記事は、
もっともっともっと大量に調べ物をして、
長い時間を当事者たちと過ごすことで得た知識や情報を
うまいこと盛り込みながら文章を練り、文字を削り、
情報を削り、伝えたい記事の内容が印象づくように工夫し……
という作業を比較的短時間のうちに行って生まれてきているわけです。

まともな記事を公に発信するということは、非常に時間と手間のかかる作業なんです。

翻って、「情報過多の時代」と言われる今。
ネットやTVに溢れる情報の中に、どれだけ時間と労力がかけられているものがあるでしょう?

キュレーションサイトなどは、一文字いくらでライターを募る世界。

新聞記者たちが報道にかける労力の、数十分の一ぐらいの労力じゃないと
採算合わないですよ。

つまり、それだけ事実調査にかける労力が減るわけでして、
記事を支える基礎情報が不足するわけです。

さらに言えば、足をつかった独自取材など夢のまた夢でしょう。

週刊誌で仕事するようなフリーのライターさんでも
取材経費が足りなくて苦しい……といった話を時折目にします。
だから、取材不足の記事が並ぶ……。

そしてこれ大事なんですが、新聞も雑誌も売り上げが大事だし、
テレビのニュースだって視聴率が欲しい。
だから、「売れそう」なバイアスに記事が偏る……。
つまんない、堅苦しいニュースより、相撲協会の話題の方がお年寄りも見てくれる……。

そんな現在が、「情報過多の時代」と言われているわけです。
玉石混交な情報の中、どちらかといえば、「石」の方が圧倒的に多いはず。

じゃぁどうするか?

考え方を変えてみるとちょっとスッキリするんですが、
ザルで砂金を濾すように、
“情報を(とりあえず)選別する方法” を身につけてしまえば、
そんな「石」情報に惑わされなくなりますよね!?

……というわけで、ここからが本題になるのですが、
ここまでで非常に長くなってしまったので、
それはまた次回に譲ります!

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