『アマデウス ディレクターズカット版』Blu-rayパッケージ表面

1984年度アカデミー賞で、8部門受賞を果たした傑作

原作は、イギリスの劇作家であるピーター・シェーファーが「モーツァルトの死にまつわる謎」を主軸にして創作した戯曲で、世界中で絶賛されている舞台です。日本でも、来年「2代目松本白鸚」を襲名する松本幸四郎 最後の現代劇としてワイドショーはじめ様々な番組で紹介されていますので、舞台『アマデウス』の名前をご存知の方も多いでしょう。うちの娘には、「ジャニーズWESTの桐山照史が出演する舞台」と説明した方が理解が早いと思いますが(笑)。

今回紹介する『アマデウス ディレクターズカット版』は、1984年に制作された作品に、約20分の未公開映像を加えたもので、本編が180分ある大作です(オリジナル版は158分)。しかし、天才たちのドラマと、モーツァルトの名曲・戯曲が見事なバランスで織り込まれていて、観客を飽きさせません。

脚本は、戯曲を著したシェーファー本人。監督は、『カッコーの巣の上で』(1975年)や『ヘアー』(1979年)、『マン・オン・ザ・ムーン』(1999年)などで知られる名匠 ミロス・フォアマン。

俳優陣の素晴らしい演技。
18世紀の雰囲気を再現し、観衆の目を引き付ける映像美。
無駄がなく、しかし、程よい余韻を残す編集。
180分の間に、一度も中だるみを感じることがありません。
この完成度の高さには、何度見返しても惚れ惚れします。

このドラマの主人公は、下記の2人。

  • ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756年1月27日 – 1791年12月5日)
  • アントニオ・サリエリ(1750年8月18日 – 1825年5月7日)

冒頭、「モーツァルトの死にまつわる謎」と書きましたが、私が小学生の頃に読んだ学研マンガ『世界の偉人』では、“謎の人物に発注された『レクイエム』の呪い” 説 が採用されていました。『レクイエム』は、モーツアルトの遺作です。そして、この映画を観終わった時には、「きっとこれが真実に違いない!」と素直に信じたくなってしまうほど、心に迫る物語なのです。

才能を見抜く目を持った凡人の、嫉妬と復讐

誰もが知る音楽史上最大の天才 モーツァルトは、この作品の中では、品性のない道化者で女好き。幼少の頃から「息子の才能を売り歩きたい」父親にヨーロッパの国々を連れ歩かれた人生=“結構、ひどい幼少期” が、こういう性格を作り上げたのでしょうか。

そして、サリエリはオーストリア皇帝に使える宮廷楽長。天才 モーツァルトとの出会いを楽しみにしていましたが、皇帝謁見前にバカ騒ぎするモーツァルトにあきれ返っていたら自分の楽曲を皇帝の前で小馬鹿にされ、自分が教える “憧れの婦人” に手を出されたり!と、踏んだり蹴ったり。

しかし、サリエリもまた、才能を持った音楽人。モーツァルトの才能の凄さが、痛いほどによく分かる……。モーツァルトの才能には敬意を払わざるを得ないのですが、18世紀の常識人であり慎み深い彼は、甲高い声で笑う礼儀作法の欠けた、若いモーツァルトを許しきることが出来ません。

そんなサリエリの苦悩を知ってか知らずか、モーツァルトは『ドン・ジョバンニ』などの傑作を次々に発表していきます。

歴史ある “エステート劇場” でオペラシーンを撮影

映画『アマデウス』の魅力は、モーツアルトの楽曲と、プラハでロケ撮影した美しい映像。

中でも、圧巻なのは、18世紀末に建てられたままの姿を今に残している、エステート劇場を使い、シャンデリアや役者が手にする燭台など、すべての灯りをロウソクにして、当時のままに撮影したオペラのシーンです。とにかく、一見の価値があります。本当に素晴らしいです。大画面の隅から隅まで、写っているものすべてが本物なのです。この重厚さはCGでは描き切れません。

エステート劇場はヨーロッパの中でも、美しく歴史的な劇場建築のひとつに数えられています。この建物は啓蒙された貴族伯爵、フランツ・アントン・ノスティツ‐リエネックが故郷を振興させるため、そしてドイツ演劇やイタリアオペラを促進させる為に建てさせました。建設には約二年かかり、1783年にレッシングの悲劇”エミーリア ガロッティ”の初演によって開幕されました。
 (中略)
モーツァルトの他の有名なオペラ上演のほか、二つのオペラの世界初演が行われました。かの有名な”ドン・ジョヴァンニ”(1787年10月29日モーツァルト自身が指揮)と、”皇帝ティトの慈悲”(1791年、レオポルト2世の戴冠式に際して)です。

   オペラとオペレッタ「プラハ エステート劇場」より抜粋引用

Blu-ray特典の「メイキング」には、撮影中に火事を起こしそうになった顛末も記録されていて、非常に面白いです。

今鑑賞するなら、当然Blu-rayの『ディレクターズカット版』がおススメなのですが、オリジナル版の『アマデウス』は、オペラシーンの色味がウォームなんですよね。これがロウソクの温もりや時代を感じさせるので捨てがたいんですよ。オリジナル版は、今もDVDで入手可能です。
私は、オリジナル版とディレクターズカット版のDVDを2つとも持っていて、フルHDのテレビで不満なく鑑賞するために、ディレクターズカット版をBlu-rayに買い替えました。結果、広間に集う人々のカツラのディテールまではっきり見える高画質に大満足しております。

音楽もふんだんに入っているので、仕事中のBGVとしてもおススメできます。

    

『アマデウス ディレクターズカット版』Blu-rayパッケージ裏面

【作品メモ】
原題:「AMADEUS」。オリジナル劇場公開版は1984年に制作。世界中の映画賞を受賞している。2002年に『ディレクターズカット版』が公開され、再度絶賛された。

  • 1984年 ロサンゼルス映画批評家協会賞 映画賞最優秀作品賞、監督賞、最優秀男優賞
  • 1984年度アカデミー作品賞、主演男優賞、監督賞、脚色賞、衣裳デザイン賞、美術賞、録音賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞
  • 1985年 ゴールデングローブ賞 映画部門 監督賞、脚本賞、作品賞(ドラマ)、主演男優賞(ドラマ)
  • 1986年 英国アカデミー賞 メイクアップ賞、音響賞、撮影賞、編集賞
  • ほか多数。

【監督】ミロス・フォアマン
【製作】 ソウル・ゼインツ
【脚本・原作(戯曲)】ピーター・シェーファー
【キャスト】アントニオ・サリエリ/F・マーリー・エイブラハム:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト/トム・ハルス:コンスタンツェ・モーツァルト/エリザベス・べリッジ
【字幕】松浦美奈

■Blu-ray発売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
本編:180分
映像:1080p High Definition 16×92.4:1
音声:英語/ドルビーTrueHD5.1ch、ドルビーデジタル5.1ch
字幕:英語、日本語(本編及び対象となる特典のみ)

    映像特典(ステレオ音声):

  • 監督ミロス・フォアマンと脚本・原作(戯曲)サー・ピーター・シェーファーによる音声解説
  • メイキング
  • オリジナル劇場予告編