TOHOシネマズ 新宿の9番スクリーンの入り口

TOHOシネマズ 新宿の9番スクリーンは、特大サイズのTCX

さて、観てきましたよ、『アウトレイジ 最終章』!
(本ブログは、ネタバレなしです。)

まずおさらいですが、
1作目の『アウトレイジ』は、第63回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式参加。
2作目の『アウトレイジ ビヨンド』は、第69回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に正式出品。
そして、今作『アウトレイジ 最終章』が、第74回ヴェネツィア国際映画祭を締めくくる、重要なクロージング作品に選ばれているということを忘れていただいては困ります。

これ、超偉業。
エンターテインメントのシリーズものが3作すべて、世界三大映画祭に正式に招待されているんですから、すごいものです。

予告編からも、作品の完成度の高さがうかがえていたので、非常に楽しみにして初日の劇場に足を運んできました。

この予告を見た時の期待を一切裏切ることなくとても面白かったです。ものすごく面白かったです。

感想を一言で表すと、「今までのアウトレイジとはまた一味違う!」ということに尽きるでしょうか。
1作目は、バイオレンス色が濃厚に出た作品で、会話の大半が掛け合い漫才の間。
2作目は、掛け合い漫才の間を全面に出して、ストーリーの面白さを強調したもの。
そしてこの最終作は、掛け合い漫才の間から一歩進化して、きめ細かい間と、重厚な間で、観客を引き込んでいきます。

もう一点、述べておきたいのは「北野映画の集大成に近い!」ということ。

海辺を軽トラックが走るオープニングを見た瞬間、久しぶりに北野映画らしさを感じましたし、韓国の夜を切り取ったシーンでは監督2作目の『3-4X 10月』で見せた沖縄の夜を想起させ、予告編にも一部使用されている大友と市川(大森南朋)の機関銃乱射シーンは、北野監督初期の大傑作『ソナチネ』を連想させるものでした。何より、『アウトレイジ』シリーズとしてエンターテインメントを貫きながらも、作品全体に初期北野映画の、何というか “乾いた死生観” といった雰囲気がそこはかとなく感じられたのが、とても好きでした。

序盤、「らしくない」安易なカットバックが多く入るのですが、気になるのはそこだけ。

演者の方々の熱演がまた素晴らしい!

特に、病気療養明けである西田敏行(頸椎亜脱臼)と、塩見三省(脳出血)の演技が凄まじい。スクリーンいっぱいに、両者の役者魂が刻み込まれている。国際的に人気がある作品だけに、尚の事、演技に熱が入ったと思います。本当に、両者から目が離せませんでした。

さらに、松重豊の味わいが活きてます。監督が、この人の演技を気に入っているのだということもよく伝わってきます。

大杉連の存在感もさすがですね。北野映画で見る大杉連が一番いいです。『シンゴジラ』の時の“セリフ棒読み感”が漂う大杉連は、ここにはいません。まぁ、あれは監督の演出意図に沿った結果だと思いますが…。

そして、予想外だったのがピエール瀧。いつも、演技しているのかどうかよく分からない印象の人ですが、今作ではしっかり役者しています。しかも出番が多い!

とんねるずの『みなさんのおかげでした!』の男気ジャンケンに、アウトレイジ軍団が登場した際、石橋貴明がピエール瀧を指して、「あ、あの人、安西とマッコイの店(が行く店?)で、女と一緒に飲んでた人じゃない?」と暴露し、ピエール瀧が照れた表情でそれ以上の言及をかわすと、武が「何だ、(映画の中で)いい演技するな、と思ってたら、ありゃ、普段から同じことしてるのか」と笑いを誘う場面がありましたが……映画見て分かりました。ピエール瀧が普段からやっているのは、あんなプレイじゃないはずですよ、多分www

最後に、張会長役の金田 時男氏。

この方は、役者ではなく実業家。『アウトレイジ』の制作費も出資されている資産家で、武さんが日頃からお世話になっている方なのだとか。『アウトレイジ ビヨンド』を見た時は、あまりの存在感の強さと、演技の下手さに驚いて、昔の東映のように、本職の人をスクリーンに出しちゃったのかと心配したものですが、正体が分かってみるとホッとします。

で、金田氏の、今作での演技の上達ぶりにも驚きました。撮影現場のプレッシャーにも慣れたのでしょう。やはり、成功する人は胆力が違うんでしょうね。

ストーリーに関しては、本当に【ネタばれ注意!】な作品ですので、あまりここで語ることは出来ませんが、ひとつ言っておきますと、ストーリーが素晴らしく練られています。

花菱会と張(チャン)グループ、そして山王会、警察など、それぞれの思惑が、うまく絡み合って、非常に肉厚なドラマを描いています。松重豊演じる繁田刑事の今回の物語などは、非常に味わいがあります。花菱会の若頭・西野(西田敏行)の太々しさ。同じく若頭補佐の中田(塩見三省)の気魄。そして北野武演じる大友の突き抜けた狂気。もうグイグイと劇中に引き込まれます。虚々実々の駆け引きはシリーズ随一です。

ちなみに、TOHOシネマズ 新宿 9番スクリーンのTHX上映では、スクリーンが非常に大きいので真ん中の通路沿いの席が即座に売り切れてしまいますが、個人的には最前列のスーパーリクライニングシートがおススメ。すごい楽な姿勢で映画が観れます。

TOHOシネマズ 新宿の入り口

■作品メモ
2017年10月7日公開。北野武監督の18作目。監督は公開時 70歳。『アウトレイジ ビヨンド』の脚本執筆時に、3作で完結するストーリーとして同時に脚本が作られたという。第74回ヴェネツィア国際映画祭のクロージング作品として正式に招待され、上映後は観客のスタンディングオベーションが数分間続いたという。

【監督・脚本・編集】北野 武
【スタッフ】音楽/鈴木 慶一:撮影/柳島克己:照明/高屋 齋:美術/磯田 典宏:録音/久連石由文:編集/太田義則:キャスティング/吉田 威史:助監督/稲葉 博文:衣装/黒澤 和子 ほか
【キャスト】大友/北野 武:西野/西田敏行:中田/塩見三省:野村/大杉連:花田/ピエール瀧:市川/大森南朋:繁田/松重豊:李/白竜:張/金田 時男:森島/岸部一徳 ほか
【制作】『アウトレイジ 最終章』製作委員会(バンダイビジュアル、テレビ東京、ワーナー・ブラザーズ映画、東北新社/オフィス北野)
【配給】 ワーナー・ブラザース映画、オフィス北野