人種差別を「笑い」ではなく「恐怖」で描いた傑作!後味もスッキリ!

ロードショーを見逃していたのですが、ようやく鑑賞しました、この映画。
まだ Blu-rayは購入していないのですが、レンタルで観て、
あまりに面白いので、ブログに残させていただきます。

一言で表すと、「黒人も白人も楽しめるエンタテイメント!」です。

人種差別という重ーいテーマを、真正面から取り扱っているのに
鑑賞後の後味がいい!!!
…いやまぁ、黄色人種である私がそんなこと言っても
説得力ないかもしれませんが、単純に娯楽作としても面白いんですよねぇ。

(作中、一回だけ日系人が、「白人側」として出しゃばって来ます。
日本人として、ちょっと、グサッと来ましたw)

後で述べますが、思いっきり人種差別の「現実」を描いているのに
重過ぎない……というか、肩肘張らずに、アフリカ系アメリカ人視点から
正面切って「気まずさ」などを描いているから、スッキリ見れるんでしょうね。

脚本・監督・制作のジョーダン・ピール氏の才能に感謝です。

でも、ホントにこの映画、ドキドキします。

ジャンルは「ホラー」ですが、血は飛び散りませんし、
そういう直接的な怖さは、あまりないです。

それよりも、白人・黒人の水面下の対立……というか
主人公のクリス(黒人)が、白人の彼女一家に歓迎されているのかいないのか。
何で、黒人の使用人がクリスに敵意を向けるのか……。

そういう心理戦が怖いんです。
でも、本当に、「笑い」と紙一重!

ピール監督は次のように言っています。

この映画は僕が恐れていることをそのまま投影している
  --監督/脚本/制作 ジョーダン・ピール

 『ゲット・アウト』Blu-ray収録のドキュメンタリー
 「『ゲット・アウト』の恐怖の本質」字幕より

やっぱり、アフリカ系アメリカ人が、アメリカで暮らすことは
そんなに気楽なことではないんでしょうね。

着想は、バラク・オバマ当選後の「ポスト人種差別」時代への違和感

この映画『ゲット・アウト』の監督・脚本を手掛けているジョーダン・ピールは、
アフリカ系アメリカ人の父と、白人の母を持つ、アメリカのコメディアン。

この人のことは、私もまったく詳しくないんですが、
なんとこの映画が初監督作品!

映画の公開は2017年ですが、ピール監督が脚本を書き始めたのは
バラク・オバマが大統領に就任していた頃。

恥ずかしながら私は良く知らなかったのですが、
オバマ大統領就任後、アメリカでは「ポスト人種差別のアメリカ」に変わったのだという
議論があったようです。
しかしそのような時代になっていないことは、オバマ大統領自身がスピーチしています

表面上は、紳士的で友好的な雰囲気が強くなっても、
その裏側には、根強い差別感情が隠されている……。

その違和感が強く描かれているのが、ガーデン・パーティーのシーンです。

ガーデン・パーティは 本作の象徴的な場面だ。
ローズやクリスと話す人たちは皆、アフリカ系アメリカ文化に言及する。
現実によくある場面を再現している。
歓迎は表面的で 黒人へのもてなしは形だけのものでしかない。
   --監督/脚本/制作 ジョーダン・ピール

黒人が圧倒的に少数という場では時々
“素晴らしい” 黒人について話したがる人を見かける。
   --クリス役 ダニエル・カルーヤ

人種に対する偏見が露呈されることへの恐れも この映画で描かれている。
だから年配の白人と若い黒人の会話は うまくかみ合わない。
   --制作 ショーン・マッキトリック

 『ゲット・アウト』Blu-ray収録のドキュメンタリー
 「『ゲット・アウト』の恐怖の本質」字幕より

中盤までは予想通り……? でも、その後、さらにどんでん返し!

この映画のストーリーについては、ネタバレなしで語るのが本当に難しいです。

なので、ストーリーにはあまり触れません。
途中で、“何が起きているのか!” が分かる展開については、
私個人の予想は的中。

けれど、その目的は奇想天外w
ちょっと昔懐かしいようなアイデアだったりします。

でも、本当にびっくりしたのは、「敵」が
何で主人公であるクリスなどの「黒人」を狙うのか?……という理由!

この理由を説明しているセリフを聞いた時は、
「へぇ! そーなんだ!」と、ちょっとびっくり。
昔だったら、あんなセリフ、ハリウッドのスクリーンには出ませんよ。

さらに、ラスト!!!

「え! ここまで来て、そんな可哀そうなことになっちゃうの!!!」と
観客に恐怖を覚えさせておいて………(こんなネタバレ書けません!)

でもこのラストがいいんですよねぇ。

で、Blu-rayに収録されていた「もうひとつのエンディング」の方は、
結構ヘビーなメッセージを訴えてきます。

監督は「もうひとつのエンディング」について、次のように言っています。

僕がこの脚本を書いたオバマ時代は まやかしのポスト人種社会。
水面下の人種差別の現実を本作で描きたかった。
このエンディングは 当時の世界が必要としていた強烈なメッセージになりうると思った。
  --監督/脚本/制作 ジョーダン・ピール

 『ゲット・アウト』Blu-ray収録の「もうひとつのエンディング」
 監督による音声解説の字幕より

でも、映画の撮影中に、アメリカ国内の様子にも多少の変化があったようで、
エンディングが、公開版に差し替えられたと言います。

このエンディングの撮影までに反人種差別活動の芽が実を結び始めていた。
解放されることを望む人々のため エンディングを差し替えた。
  --監督/脚本/制作 ジョーダン・ピール

 『ゲット・アウト』Blu-ray収録の「もうひとつのエンディング」
 監督による音声解説の字幕より

で、公開バージョンのエンディングなんですが、最後のセリフの掛け合いが
何種類も撮影されていて、面白かったです。
「未公開シーン」としてBlu-rayに収録されているんですが、
観ているこっちが飽きるぐらい、セリフのバリエーションがあって面白い。

こうしたオマケシーンも、レンタル版Blu-rayに収録されていましたので
ぜひ、この作品のすごさを、その目でご確認ください!

  

【作品メモ】
2017年制作(アメリカ)。製作費500万ドルという低予算ながら、全米興行収入 1億7,500万ドル(約200億円)を記録。日本での公開は、大作の狭間で行われ、スクリーン数も30程度と少なかったが、興行収入は1.3億円超えを記録した。ゴールデン・グローブ賞 作品賞(ミュージカル・コメディ部門)と、主演男優賞(ダニエル・カルーヤ、ミュージカル・コメディ部門)にノミネート。
<あらすじ> ニューヨークに暮らすアフリカ系アメリカ人の写真家クリスは、ある週末に白人の彼女ローズの実家へ招待される。若干の不安とは裏腹に、過剰なまでの歓迎を受けるものの、黒人の使用人がいることに妙な違和感を覚える。(公式サイトより)

【監督/脚本】ジョーダン・ピール
【制作】ジョーダン・ピール/ジェイソン・ブラム/ショーン・マッキトリック/エドワード・H・ハム・jr,p.g.a
【製作総指揮】レイモンド・マンスフィールド/クーパー・サミュエルソン/ショーン・レディック/ジャネット・ヴォルトゥルノ
【音楽】マイケル・アーベルス
【キャスト】クリス・ワシントン/ダニエル・カルーヤ:ローズ・アーミテージ/アリソン・ウィリアムズ:ディーン・アーミテージ/ブラッドリー・ウィットフォード:ミッシー・アーミテージ/キャサリン・キーナー ほか

■Blu-ray販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン(本編 104分)

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