今日(12月27日)発売の週刊少年マガジン(2018年 4・5号)で、
いよいよ『はじめの一歩』の主人公・一歩の引退が(ほぼ)確定しました。

非常に静かで穏やかな展開で、一歩と鴨川会長の会話が心にしみます……。

と思っていたら、今朝のラジオに、巨匠・ちばてつや先生がゲスト出演!
ボクシングを扱うすべてのマンガの原点となる大傑作『あしたのジョー』の話を中心に
興味深い話が盛りだくさんでした。

しかし本当にいいタイミングでゲスト出演されるなぁ、と。

『あしたのジョー』の連載開始から、今年で50年の節目! 未だに衰えないその影響力。
その影響を大いに受けた『はじめの一歩』は連載28年に達する化け物マンガ!

双方ともに、すごいものです。

ちばてつや氏は、冒頭いきなり、次のように切り出します。

漫画家になって61年。『あしたのジョー』がマンガになって50年経つそうですが、あっという間でしたね。ついこの間まで『あしたのジョー』のラストシーンで苦しんでいたかな、と思い出しますけれど…

  TBSラジオ「伊集院光とラジオと」 12月27日放送より

50年近く前の “生みの苦しみ” が、「ついこの間」に感じられるという発言から、
ちば先生がいかに一作品ごとに精魂込めていたかがうかがい知れます。

本当に、尊敬の念しか浮かびません。

そして驚いたのが、そのラストシーンの秘話!

ジョーは、全力を出して燃え尽きた。生死は考えていなかった!

もう本当に驚いたんですが、、
梶原一騎(『あしたのジョー』の時は「高森朝雄」名義)の原作とは、まったく違うラストだった! んですねぇ……。

「原稿には“真っ白に燃え尽きた”と書いてあるわけですよね…」と伊集院。
「いえ、それは違うんです」と、ちば先生!

梶原一騎の書いたラストシーンも良かったけれど、ちば先生としては
「これは違う」と!

梶原さんのラストはね、やっぱりパンチドランカーになってしまって、闘う力を出し尽くしたジョーは、白木葉子というヒロインがいるんですけれど、その人の大きなお屋敷のベランダで、日向ぼっこしてる。
それを、ベランダのちょっと離れたところから、葉子がそっと見ている、と。「いろいろあったけれど、お疲れ様」という目で見ていると…。それもまた、一幅の絵になっていていいんですよ。
私は、ほかで(この梶原一騎版ラストシーンを)絵に描いてますけれど、マンガでは描かなかったんです。

  TBSラジオ「伊集院光とラジオと」 12月27日放送より

いやー、そうなんだ! と驚きました。知りませんでした!

だから、「ついこの間まで『あしたのジョー』のラストシーンで苦しんでいたかな」と
思うほどに悩み抜いて、あの有名なラストシーンが生まれたのだな、と。
(ラストシーンのジョーの姿を知りたい方は、ネットで検索を。「沖縄 あしたのジョー」でググると出てくる国際通り沿いの人形は、そのラストシーンを模しています。※色違い)

で、さらに驚いたのが

あれ描いている時は(ジョーが)死んでいるとか生きているとか、考えたことがないんですよ。

  TBSラジオ「伊集院光とラジオと」 12月27日放送より

という一言!

えー!!!
子どものころから、ずーっと、矢吹丈はリングの上でほほ笑みながら死んでいったんだと思い込んでいましたよ!!!!!

さらに、ちば先生は続けます。

炭が真っ赤に燃えて、燃え尽きた後に白くなる……そういう姿を描きたかったんです。(略)
そういう気持ちで、力がスーッと抜けていく姿を描いたんです。
だから、死んでたら、笑えないと思うんですよ。(略)
だから、私は「死」を一切考えてないんです。

ただ…ただね、不思議なんですけど、私も時々あの絵を見るんですけど、
私がうんと元気な時は、「あ、これ、ジョーはまだ生きている。これから元気に立ち上がって明日がある」
と思えるんですけど、
自分がうんと疲れてですね、ヘトヘトな時に見るとね、
「あれ、もしかしてジョーは死んじゃったのかな?」と思うんですよ。

見る時によってね、感じ方が違うんですよ! 自分でね。

  TBSラジオ「伊集院光とラジオと」 12月27日放送より

いやもう、本当に絵力が強すぎます!
最高です!
素敵すぎます!

しかし、矢吹丈は死んでいなかったんだなぁ……。

まだあの後立ち上がって人生を歩んでいたんだなぁ……。

でも、ちば先生のラストでも、やっぱりパンチドランカーなんだろうなぁ……。

そう考えると、『はじめの一歩』の描かれ方は、現代的だし、
非常に選手に近い目線だよなぁ……と改めて感じました。

以上、あまりにも驚くやら感動するやらで、思わずブログに記してしまいました。

  

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